神様の落としもの
何時間寝たのだろうか…?

目が覚めるとカラスの鳴き声が異様に耳に付いた。

俺はゆっくりベッドの上で体を起こした。

立ちくらみもせず、意外と普通だった。

ベッドから降り、俺はカーテンをゆっくり開けた。

夕焼け色の光が、保健室に差し込んでいた。

教室の隅にある机に天使は顔を伏せたまま、眠っていた。

天使の顔に夕日が当たり、キラキラと輝いていた。

天使の寝顔は本物の天使以上に天使だった。

見ているこっちが幸せな気持ちにさせられる、そんな感じだった。

うっ…。

と、突然俺の胸が、息が出来ないくらい苦しく締め付けられた。

苦しい…。

俺は初めて感じる感覚に少し怖ささえ覚えた。

俺は左手で自分の胸ぐらをギューッと掴み、息を止めて耐えた。

5秒くらい続いた後で、スーッと痛みは消えた。

何だったんだろう…?
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