神様の落としもの
俺たちは自転車を押しながらゆっくり歩いて帰った。

夕焼け空も少し暗くなりかけていた。

「今日はありがとうございました。遅くまで付き合わせちゃって・・・。」

「いぃえ。天使だから病人はほっとけないでしょ♪」

そう言いながら、天使はクスクスっと笑っていた。

「今更なんですが・・・お名前聞いてもいいですか?ちなみに俺は・・・」

「知ってるよ!佐家神太郎君でしょ!」

「えっ・・・何で知って・・・」

「だって君の・・・君のカルテ見たから。名前載ってるんだよ。患者さんの名前くらい覚えないとね!」

天使は一瞬口を曇らせたような気がしたが、俺はあえて深く突っ込むことは止しておいた。

「で、私の名前は森岡唯。唯って呼んで♪今は看護科の一年生。今日は当番で保健室に居たの。そしたらまさかの急患でビックリだったよ!!」

「そうなんだぁ。迷惑かけてごめんね・・・。俺は薬学部の二年生。俺のことは佐家神って呼んで。友達もみんなそう呼んでるし、呼び捨てで呼ばれても気にならないから!」

「えぇ~。ヤダ。太郎ちゃんって呼ぶー。」

「はぁ?」

俺は一瞬戸惑った。

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