神様の落としもの
今まで呼び方を断って来た友達なんて居なかったから・・・。

「ヤダの意味がわかんないんだけど・・・。俺は名前で呼ばれるのイヤなんだよ。『太郎』って今時、犬にしか付けないような名前・・・」

「えぇ~。可愛いじゃん♪最近の難しい漢字並べて付けてる名前より、よっぽどインパクト合って良いと思うよ~。だから、太郎ちゃんね!その代わり私のことは唯って呼んでね!太郎ちゃん♪」

「その代わりって・・・その代わりになってないよねぇー。」

俺は少し睨んだような表情をし、唯ちゃんを見たが口元は明らかに笑っているのが自分でも解った。

帰りの道のりはきついはずなのに、天使がいてくれたお陰でいつもより楽しく感じた。

それに、いつも長く感じる家までの道のりがあっという間だった。

家ってこんなに近かったかなぁ・・・。

俺は自転車を駐輪所に停めた。

「今日はありがとね!」

「いいぇ。このお返しは今度してもらうから、大丈夫♪・・・あっ!そうだ。電話番号教えて?」

唯ちゃんは少し態とらしい表現をしながら、俺に電話番号を聞いてきた。

「う・・・うん。」

そう言い、俺はポケットから携帯電話を取り出した。

二人の携帯電話を少し近づけ、赤外線通信でお互いの情報をやりとりした。

「ありがとう。じゃぁ、また明日ねぇ~!!」

そう言い、唯ちゃんは手を振って家を後にした。
< 27 / 40 >

この作品をシェア

pagetop