神様の落としもの
唯ちゃんの姿が見えなくなるまで見送り、俺は階段を登っていった。

今日はいつもより軽快にステップを踏んでいた様で、あまり響かない足音が俺の心境を物語っているようだった。

俺は部屋に着くと、すぐにベッドに倒れ込んだ。

俺の右手にはギュッと握りしめた携帯電話。

何故か放せずには居られなかった。

俺は仰向けになりながら携帯電話の電話帳を開いた。

『森岡唯 090xxxxxxxx yui@co.jp』

俺は意味もなく何度も何度も電話帳を眺めていた。

その表情は明らかににやけていたと思う。

ただ、携帯電話に名前がある。

それだけで俺は、心が繋がっている気がしていた。

と、突然携帯電話が音を出して鳴り始めた。

自分の携帯電話でありながら、俺はその音にビックリした。

滅多に仕事をしない携帯電話が、メールを受信した。

それも送信先は親ではなく唯ちゃんだ。

俺は嬉しさのあまり、メールをすぐには開けずにいた。

何が書いてあるんだろう?

俺は頭の中目一杯に想像を膨らませ、ドキドキしながらメールを開いた。
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