神様の落としもの
「勇磨!テニス行こうぜ!」

俺はいつものように勇磨を誘った。

俺たちは良きライバルでもあり、良きペアでもある。

「わりぃ!今日は彼女とデートなんだ。また明日な!」

そう言い、勇磨はカバンを持って颯爽と教室を後にした。

その姿がうらやましくもあり、悔しくもあった。

教室から下を眺めると勇磨の走る姿が見えた。

その先にはカバンを両手で抱え、木に軽く寄りかかって立っている女の子がいた。

女の子が軽く勇磨に手を振る。

「彼女かぁ…。」

何だか勇磨達の光景がすごく新鮮に映った。

もし俺に彼女がいたら…

気が付いたら頭の中で想像を膨らましていた。

バーチャルの世界に引き込まれながら、1日テニスの練習に明け暮れた。
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