冷たい彼-初恋が終わるとき-
誰にも言えない愛がある
蓮side
1
俺には幼馴染みがいる。
名前は日莉(ひまり)。
そして腐れ縁の芽生(めい)。
芽生の幼馴染みの乙樹(いつき)。
俺の周りにはいつも、この三人がいた。
高校の入学式である今日も、いつもと同じくコイツ等が傍にいる。
「芽生ちゃん何組だった?」
「僕はB組」
「まじ!?俺もB組!」
「じゃあ乙樹と芽生ちゃんは同じクラスなんだね!
ーーー蓮は?」
幼馴染みを意識し出したのはいつだったか。
幼稚園の頃からいつも傍にいて。
小学校の頃はよく喧嘩して。
中学校の頃からやけに可愛く見えて。
「蓮は日莉と一緒だぜ」
「え!本当!?やったぁ!」
いつからか日莉が“女”として見えた。
「でも乙樹と離れて寂しい」
だが、コイツの隣には既に乙樹がいた。
好きだと気付いたときはあまりにも遅すぎて「おめでとう」と柄にもなく笑うしかなかった。
「行くよ、蓮」
そして俺は今日もまた、幸せな二人の
背中を見ながら後ろを歩く。
憂鬱でしかなかった。
違う高校を選べば良かった。
乙樹が。
芽生が。
ーー日莉が。
無理やり、俺の願書を書き換えた。
お願いとせがむ日莉の腕を無理にでも振り払っておけば、こんなにも苦しまずにすんだのか。
約束なんてするんじゃなかった。
『ずっと一緒。』
なんて。
ーーードン!
ぼんやりしすぎてぶつかってしまった。
このときはまだ、気にも止めなかった綺麗な栗色の髪。おどおどする姿はまるで小動物のようで、脅える瞳は俺を映す。そしてこのときの彼女もまた、俺になんか眼中にないんだろう。
「ご、ごめんなさい!」
桜舞う高校一年の春。
「…ああ、悪い」
俺はまだ、叶わない恋をしていた。
俺には幼馴染みがいる。
名前は日莉(ひまり)。
そして腐れ縁の芽生(めい)。
芽生の幼馴染みの乙樹(いつき)。
俺の周りにはいつも、この三人がいた。
高校の入学式である今日も、いつもと同じくコイツ等が傍にいる。
「芽生ちゃん何組だった?」
「僕はB組」
「まじ!?俺もB組!」
「じゃあ乙樹と芽生ちゃんは同じクラスなんだね!
ーーー蓮は?」
幼馴染みを意識し出したのはいつだったか。
幼稚園の頃からいつも傍にいて。
小学校の頃はよく喧嘩して。
中学校の頃からやけに可愛く見えて。
「蓮は日莉と一緒だぜ」
「え!本当!?やったぁ!」
いつからか日莉が“女”として見えた。
「でも乙樹と離れて寂しい」
だが、コイツの隣には既に乙樹がいた。
好きだと気付いたときはあまりにも遅すぎて「おめでとう」と柄にもなく笑うしかなかった。
「行くよ、蓮」
そして俺は今日もまた、幸せな二人の
背中を見ながら後ろを歩く。
憂鬱でしかなかった。
違う高校を選べば良かった。
乙樹が。
芽生が。
ーー日莉が。
無理やり、俺の願書を書き換えた。
お願いとせがむ日莉の腕を無理にでも振り払っておけば、こんなにも苦しまずにすんだのか。
約束なんてするんじゃなかった。
『ずっと一緒。』
なんて。
ーーードン!
ぼんやりしすぎてぶつかってしまった。
このときはまだ、気にも止めなかった綺麗な栗色の髪。おどおどする姿はまるで小動物のようで、脅える瞳は俺を映す。そしてこのときの彼女もまた、俺になんか眼中にないんだろう。
「ご、ごめんなさい!」
桜舞う高校一年の春。
「…ああ、悪い」
俺はまだ、叶わない恋をしていた。