冷たい彼-初恋が終わるとき-
でも現実はいつだって残酷なものだった。
「あ、」
「星絆ちゃん?」
「花霞、ちゃん」
ふと足を止めて言いずらそうに目を伏せるものだから、きょとんとする。
そして目の先を見て、息を呑んだ。
「…花霞ちゃん、大丈夫?」
「…ん」
目頭が熱くなる。
廊下を歩いていたときに見えた光景は、私の現実逃避を破壊するには充分だった。
幸せそうに笑う如月さん。
楠さんの隣で微笑む小田切君。
寄り添う二人は、おおらかな雰囲気を醸し出し、互いに互いを求め合っている。
そして思う。
『ああ。噂は本当だったんだ』と。