冷たい彼-初恋が終わるとき-
「…何だよ」
「う、ううん。クレープありがとう」
小さいことは気にしないでおこう。
奢って貰ったクレープをはむはむ食べていると少し影がかかり、顔をあげる。
「!?」
すると、真横に桐生君の顔があった。頬と頬が触れあうくらいに。桐生君の睫毛の長さが分かるほどに。
クレープを一口食べた桐生君は唇についたクリームをペロッと舌で掬う。その色っぽさに顔が真っ赤になる。
「…甘」
「あああ…」
「…こんな甘いもんよく食えるな」
「あああああ…」
「…っるせえよ!何だよ!?」
「だだだ、だって…!」
麻痺を切らして青筋を立てる桐生君に睨まれた。でも私は食べ掛けだったクレープを桐生君が食べたことで頭が真っ白になった。だ、だってこれって、キスされるよりも気恥ずかしい。