冷たい彼-初恋が終わるとき-
目線を地面に縫い付けてクレープをひたすら口に含んだ。照れ隠しにガブガブ食べ続けて最後の一口を飲み込んだ後、桐生君をちらりと見れば私の食いっぷりに唖然としていた。
「…お前、そんなに腹減ってたのか」
「ち、ちがうよ」
これじゃあ大食いキャラになっちゃう!
「…バーカ。冗談だ。いちいち照れてんじゃねえよ」
「(や、やっぱり気付かれてた)」
わたわたしてる私からクレープの紙を奪うと、ゴミ箱に捨ててくれる桐生君。またもスマートにやり遂げる桐生君に慌ててお礼と言うと、私の顔をじっと見つめてから口角を上げた。
そして。
「!?」
唇の端をペロッと舐められた。
「な、何して…っ」
狼狽えながら、舐められた箇所を指で触る。
「…生クリーム、ついてた」
やっぱり甘い、とか呟く桐生君に私は沸騰寸前。さっきよりも顔の熱が迸る。今度は誤魔化せるクレープもなくて両手で頬を押さえた。