冷たい彼-初恋が終わるとき-
「っひゃ、な、何、桐生君」
いきなり、頬に添えていた手に、上から手を添えられて頬を包まれる。
肩を震わす私の耳に唇を寄せた桐生君の吐息に、また震えた。
「…顔、真っ赤」
そう耳元で囁かれる。程好い低温と耳朶を擽る吐息の熱っぽさが、余計に私の羞恥を煽った。悔しい事に熱が引いてくれない。
「…か、らかわないでよ」
真っ赤の顔をあまり見られたくなくて、ふいっと視線を背けた、その直後。
判断を後悔した。
顔に集まっていた熱がサアッと冷めていくのが分かる。ガツンと、頭を殴られたような衝撃すら感じた。