冷たい彼-初恋が終わるとき-
ギュッと。指を強く握られる感触がして見上げれば、桐生君は双眸を揺らがせて一点を凝視している。
視線の先には、淡く微笑む如月さん。
「…きりゅ、くん?」
恐る恐る、今度は私が声をかける。
しかし、桐生君は何も言わない。
可憐な彼女の姿をただ見つめる桐生君の目は、いつしか見た瞳の色だった。
悲しそうに、悔しそうに、諦めたように、そして愛おしそうに。全てがいっしょくたになった目を、如月さんに向けている。
ーーぱちり、とピースが挟まった。
きっと桐生君の幼なじみで、想い人でもある女の子は、如月さんだったんだ。
だから、あんな表情をしている。