冷たい彼-初恋が終わるとき-




整頓された部屋は、必要最低限なもの以外何もなく、シンプルだった。


どこか不安そうに見える桐生君に胸がズキンと痛む。


少し静寂を支配する部屋。




「…花霞」




静かに私の名前が呟かれる。


その声音は、僅かに震えているような気もした。


正面から抱き締められて、私も抱き締め返す。


桐生君が私に覆い被さるように抱き締めていたけれど、実際は私が宥めるように、彼を抱き竦めていた。


どこにも行ってしまわないように、ギュッと彼を引き留める。そうしないと、深い闇に沈んでしまいそうだから。


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