冷たい彼-初恋が終わるとき-
「…っん」
少し見つめあってから、今度は桐生君からキスをされる。太股をなぞられて、甘い声とともに開いた唇から割って入ってくる舌に、翻弄される。
ここまでは、いつも通りだった。
「…んン…っ!」
でも腰掛けていたベッドに押し倒されて、くぐもった声をあげる。肩で息をする私の視界には、天井と、唇を貪る男。熱の籠った視線に、疼きを感じる。その熱が自分に向けられていると知って尚更。
シュルッと自分のネクタイを慣れた手付きで離すと、私の首筋を舐めた。いつのまにかリボンを取られて、ボタンも外されてしまう。
「…や、」
首筋から、胸元にかけて、舌が這う感触にぞわぞわ。
何も言わない彼の手が胸に触れた。
「…っ!」
途端に体が、ビクつく。
彼の家に誘われて、来てしまった時点で、こう言うことは想像してなかったわけじゃない。でもやっぱりこの感覚は初めてで、体が震えた。怖い、と。
固く目を閉ざしていると、私の上から重みが退く。