冷たい彼-初恋が終わるとき-
花霞side
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ーHR
委員会からのお知らせや先生の言葉を聞き流して、溜め息。
「花霞ちゃん元気ないね!」
「そ、そう?星絆ちゃんはすごく元気だね」
「今日は合コンなんだー!」
きゃー!と黄色い声をあげてメイクを直している。ホームルームとか関係ないみたい。教室を見渡せば、数人が星絆ちゃんと同じく気合いの入ったメイクをしている。
「私も花霞ちゃんみたいにイケメンな彼をゲットしてやるんだから!」
面食いの星絆ちゃんだけど、実際好きになるのは雲の上のイケメンじゃなくて平凡な醤油顔だったりする。
いつもイケメンは目の保養だけに留まってるのをきっと本人は気付いていない。
「頑張ってね」
「うん、ありがとう!私にもやっと春が来るわ!」
この台詞を聞くのは何度目だろうか。
目の周りをグリグリと黒く塗っていく星絆ちゃんをボーッと見つめながら、頬を机にくっ付ける。
少し冷たくて、ヒヤッとした。
「(イケメンな彼、か)」
そうだよね。桐生君ってイケメンなんだ。