冷たい彼-初恋が終わるとき-
たとえば未来の信じ方

蓮side

10




高校一年。

白鴎で出逢ったのは赤髪。
女と見間違えるほどの童顔な男。
そんな奴と連むようになって三人とは話す機会も薄れてきた。

白鴎高校に入学して三ヶ月。
“人付き合い”と称して距離を作る。
そろそろ地盤が固まってきたころだ。



「あ、蓮!」



久しぶりに会った幼なじみ。

目が合えば手を振ってくる日莉。
周りにいる奴等が日莉を睨んでるのが分かる。
女の嫉妬を諸ともせず笑い掛けてくる陽気さに呆れる。



「あれ?蓮ってばー!おーい!」



聞こえなかったふりをして目を逸らす。
見なかったことにして歩みを進める。
それはあからさますぎる無視。


もう一度だけ横目でそこを見れば、俯く日莉がいた。
傍にはやはりと言うか、乙樹もいる。
俺の態度に唖然としながら日莉を慰めていた。
まるで悪役気分だ。

ふと前から歩いてくる幼なじみを見つける。

黙って俺を見るだけで、何もない。
日莉を無視する瞬間を見ていたはずだ。

しかし、芽生は何も言わなかった。







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