冷たい彼-初恋が終わるとき-




「そうだ。お弁当一緒に食べても良い?」

「…は、はい。どうぞ」




お弁当を持参している如月さん。断る理由もないので頷けば、愛らしく破顔させる。


桐生君と出逢う前の私が黒い感情を抱いていたなんて如月さんは知らない。無邪気な笑顔に、罪悪感が湧いた。


前の椅子に腰かけて、体をこちらに向ける如月さんはお弁当の包みを解く。


中から姿を見せたのは、美味しそうなお弁当だった。栄養バランスがあり、色鮮やか。ちゃんと緑と赤と黄もある。料理も上手なんて反則だよ。




「…料理得意なんですか?」

「そこそこだよ。初めは壊滅的に下手くそだったんだけど、蓮のお父さん達が海外出張するって聞いて習い始めたの。料理始めたときは指が絆創膏だらけでさ。笑っちゃうよね」




桐生君の、ため。
半一人暮らしだと知り、食生活をどうしてるのか聞いたとき躊躇ってたのはこのせいか。如月さんが作ってたんだ。


お箸から転がり落ちたハンバーグを、もう一度掴む。


パクパク食べる如月さんを見て、私もお弁当を口にする。自分で作ったものだけど、彼女の物と比べると質素で色がない。



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