冷たい彼-初恋が終わるとき-
「知ってるよ。ずっと一緒にいたんだから気付かない訳がない。蓮が恋慕に近い感情を抱いていた事くらい、とっくに気付いていたよ」
さも当たり前のように言う如月さんに目を瞠る。
彼女は何を言っているんだろう?
つらつらと彼女の口から出てくる言葉に、頭が付いていかない。
口の中は水分が奪われ、パサパサしてる。
「…知ってたなら、どうして?」
掠れ気味の声は、まるで彼女を責めているようだった。
「…知ってるならどうして、何も言ってあげなかったの?」
如月さんは知ってるんだろうか。
孤独の深淵に沈吟する、あの瞳を。