冷たい彼-初恋が終わるとき-
「え?ええ!?
桐生君と知り合いなの!?
一緒に帰る仲なの!?
花霞ちゃんの付き合ってる人ってまさか桐生君ー!?」
「…うるせえ」
ギロリと睨まれて短い悲鳴をあげる星絆ちゃんに、不機嫌さを隠そうとしない。顔を顰める桐生君は私の頭に手を置くと、さらりと暴露する。
「…コイツ、俺の女」
そして黄色い悲鳴が鼓膜を突いた。
桐生君は小田切君に負けず劣らず人気のある人だ。
「何で」「どうして」そんな声が教室に響く。でも私達は皆の想像するような甘い関係では無い。私達はあまりにも愚かだから。互いの恋心を忘れさせるための関係でしかない。互いに気を紛らわせるための存在なのだ。