冷たい彼-初恋が終わるとき-
「…ははは、離して!」
「…無理」
「わわわわ私が無理!」
「…お前うるさい」
「だだだだだってぇ…!」
「…そんなに俺と手を繋ぐのが嫌なのか」
「違…っ!」
あわあわする私にため息をついた桐生君は繋がれた手をこれ見よがしに目線の高さまで持ち上げた。繋がれてる私の手もされるがままに、持ち上げられる。そしてそのままーーー口付けを手の甲に落とした。
「&#℃¥$☆§★@!?」
声にならない叫び。手の甲に感じた桐生君の唇は柔らかくて、まるで壊れ物に触れるようだった。唇を離した桐生君はニヤリと不敵に笑って指を絡め直す。
「誰が離すかばーか」
ギュッと絡まる指先に意識が奪われながら、私は桐生君に手を引かれた。
ざわりと揺らいだのは、周囲か、それとも私か。