冷たい彼-初恋が終わるとき-
「あ、あの、桐生君?」
「…あ"?」
「ひぃっ…」
あの人を殺しそうな目で見下ろされて体が震える。
こ、怖い。怖すぎる。
ビクビクと脅える私の頭を、丸めた教科書で叩いてきた。
「…情けねえ面してんじゃねえよブス」
「ご、ごめ、」
まだ滴が零れ落ちてない目をごしごしと拭う。
「…幼なじみ」
「え?」
「…アイツ」
「落合君、のこと?幼なじみなの?」
「…ああ」
どこか言い淀み、苦虫を噛み潰したような顔をされる。落合君が消えて行った廊下を見据える桐生君に、私は何とも言えず口籠る。
ふたりが幼なじみなんて意外だ。話してるところなんて見たことないのに。でも今の雰囲気を見る限り、仲良くないのかもしれない。棘のある落合君に、桐生君は終始不機嫌だった。