冷たい彼-初恋が終わるとき-





「…アイツには近寄るなよ。手ェ早いから」



え。



「…見た目に惑わされんな。あれでも男だ」



細身で影のあるミステリアスな人だったのにまさかと口を開けたまま固まる。人は見掛けによらないとはこのことだ。美しい落合君に惑わされる女性なんて山ほどいるんだろうけど。



「…アイツに…

芽生に話しかけられても無視しろ」

「お、同じクラスなんだからそれは無理だよ」

「駄目だ」



なんて無茶な。と困るが桐生君は真剣だった。あまりにも切羽詰まったような表情で詰めよってくるから戸惑いながらも「出来る限りは」と頷く。


あまり納得して無さそうだったけど、元々落合君とは話す間柄でもない。だから大丈夫だと頷いたとき。


ふわりと香るミントの匂い。


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