冷たい彼-初恋が終わるとき-
「ごめんね」
「…ん?」
「期待に添えなくて」
「…っ」
思ったことを言われたからか、早乙女君が目を剥いた。
「早乙女君が期待するような美人でも何でもないよ、私は。桐生君の隣に立てるほどの魅力もないし」
きっと早乙女君にもそう見える。
同性ですらそう思うんだから、異性だってそう思うだろう。
桐生君と仲の良い早乙女君なら尚更。童顔ながらも整った顔付きをしてる早乙女君なら、そう思うはず。彼等みたいな美形には、女なんか嫌と言うほど寄ってくるだろうから。
唖然としたままの早乙女君に苦笑いして私は言う。
「早乙女君達からしたら私なんか平凡に見えて仕方ないよね。実際事実だし、そう思われても仕方無いよ」
平凡は、不似合い。
期待するのは目を奪われるような美女。
なのに桐生君は私を選んだ。
それが早乙女君には不思議なんだろう。