冷たい彼-初恋が終わるとき-
「あーあ勿体ないなぁ。顔は可愛いのにそれだけ小心者じゃあねぇ。打倒、如月日莉も夢じゃなかったのに」
「え…ええ…!?む、無理だよ…!如月さんは凄く綺麗な人なんだよ?打倒なんて言うだけでもおこがしいのに…っ」
「俺は如月日莉嫌いだから」
「え…」
「皆が皆、如月日莉を好きになるとか思っちゃってる時点で危ないよ?俺、ああいう八方美人苦手なんだよねー。どうすれば嫌われないとか考える打算的な女って可愛げないよな」
如月日莉さんを貶す人なんて初めてで目が泳いだ。あわあわと落ち着きのない私に、早乙女君はニッコリ笑って頬に指を滑らした。
「その点、君は素直だよね。ちょっとバカっぽいけど許容範囲内だよ。やっぱ蓮なんか止めて俺にしない?蓮に負けず劣らずイケメンなんだけどなー」
「…うるせえよ、触んな女顔」
「いてててて。容赦ねえなぁお前」
不機嫌そうに早乙女君の腕を捻りあげる桐生君。大袈裟に痛いと嘆いて腕を擦る早乙女君はふーんと呟いて、私と桐生君を見比べた。