冷たい彼-初恋が終わるとき-
「分かったって!謝るから!」
だから離せと叫ばれると、桐生君はパッとほどいた。
腕を擦りながら涙目で睨む早乙女君は不謹慎にも可愛い。
しれっとする桐生君のブレザーの裾をちょいちょいと引っ張る。
「か、庇ってくれてありがとう」
「…お前も何か言い返せ」
「う、ううん。気にしてないからいいの。早乙女君が言ったことは本当のことだもん」
「…陽一死ね」
「なんでだよ!」
足をぐりぐり踏む桐生君に、またも早乙女君は悲鳴をあげた。