ボーダー・ライン
このように僕たちは、毎日毎晩インターネットを介して「愛の言葉の交換会」を行っているのだ。
楽しい、癒される、今の僕はコレのために生きているようなものだ。
だけど外野からは、薄っぺらい愛の表現方法だと馬鹿にされるんだろうか。
「偽物の愛」と言われてしまうのだろうか、恋愛評論家のお嬢様達には。
それでも、
『大好き、タカ』
『一緒にいて』
と好きな女の子に囁かれれば、男はたまらない。
たまらなく、愛しい。
そしてたまらなく、気持ち良くなる。
こんな夜がもう一ヶ月は続いたのだろうか。
僕達はその心地よさに溺れてしまった。
傷のなめあいである恋に。
そして僕達は「おやすみ」をした後、チャットルームから出てそれぞれの生活に戻った。
時間は夜中の2時をまわる。
今頃、彼女は僕のために心をこめて「ラブレター」を綴っているのだろうか。
そうだろうな、そうに違いない。
そしてまた今日のように、明日の晩メールボックスを開くと、たくさんの彼女の想いにに僕は埋めつくされるんだろう。
幸せだ。
淡いピンク色の空気が頭の中に充満する。
だけどそういえば彼女は言っていたな、
『後で全部見ておいてね』
って。
あの24件のメールのことか。
「おっと、いけない」
あやうくベッドに潜って寝てしまう所であった。