夜人【ヨルヒト】さん
一番奥の個室へと、画面が入っていく。

エミカが、スカーフの輪に頭を通すのが写った。

足が便器を蹴り、身体ががくんと垂れ下がる。

ぎしぎしと布が鳴り、足が壁を蹴る鈍い音が、トキコが手にしている携帯から漏れだす。

『ぐっ……うっ……げええっ!』

断末魔の叫びが、スピーカーを震わせた。

「やああっ!」

トキコは叫び、携帯を投げ捨てようとした。

だが、強張った身体は動かず、ベッドの上にへたりこんだだけだった。

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