夜人【ヨルヒト】さん
そのまま眠りに引きずり込まれそうになった時、耳が異音を捉えた。

炭酸のはじける音に混じって、硬質の音が聞こえてくる。

カチ、カチという小さな衝撃が、缶を持った手に伝わってくる。

(……?)

重たい瞼をこじ開け、缶を見る。

外見は、何も変わっていない。

だが、確かに手には衝撃が伝わってくる。

缶の中から、何かが叩いているような音と振動。

(何……? 炭酸……?)

朦朧とした意識で、トキコは缶を覗き込んだ。
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