夜人【ヨルヒト】さん
「…………」

ユキオミは煙草を咥えたまま、黙って聞いている。

トキコは膝の上に置いた手を握り締めた。

言葉を探しながら、過去を手繰り寄せる。

「最初は……友達だったの。

おっとりしてて、何があっても笑顔で怒らなくて。

私たちの後をいつもついて歩いてた。

大人しくて……それが、いつの間にか」

声に苦味が混ざる。

「鬱陶しい、って思うようになってた。

話題に入ってこないのに、いつもその場にはいて。

内緒話したくて場所変えたくても、どこまでも付いてくる」
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