夜人【ヨルヒト】さん
一瞬教室が静まった。

エミカが教室に入ってくる。

いつもと同じように、うつむき加減で、背中をやや丸めて。

だが、その肌の色が普通ではなかった。

ロウを思わせる、不自然な青ざめ方をしている。

生気がまるでない肌。

やや乱れた髪の奥で、半開きの目が冥く空中を見つめていた。

ずる、ずる、と足を引きずるようにして、自分の席へと歩く。




エミカが不意に振り向いた。

息を呑んで見つめる3人の目に、エミカの首が見えた。

白く巻きつけられた包帯と、その隙間に見える赤黒いあざ。
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