夜人【ヨルヒト】さん
雷の閃光が、エミカの虚ろな目を照らした。

空をつんざく雷鳴に、ガラスがびりびりと震える。

エミカは懐中電灯を床に置いた。

「夜人さん」

ぼそりとつぶやく。

セーラー服のリボンをほどき、端をハンカチと固く結ぶ。

「夜人さん夜人さん夜人さん」

閃光が窓を白く照らした。
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