夜人【ヨルヒト】さん
だが、他に行き場もない。
戸に手をかけ、そっと引く。
「……チサエ?」
薄暗い教室に人の気配はなかった。
窓に引かれたカーテンの隙間から差し込むぼんやりとした光が、テーブルや棚を浮かび上がらせている。
蛇口から垂れた水が、ぴたんと小さく鳴った。
「……チサエ? いるの?」
顔を出して呼びかけるが、返答はない。
ぎゅっと唇を結び、サナミは理科室に入った。
足音が、妙に大きく聞こえる。
戸に手をかけ、そっと引く。
「……チサエ?」
薄暗い教室に人の気配はなかった。
窓に引かれたカーテンの隙間から差し込むぼんやりとした光が、テーブルや棚を浮かび上がらせている。
蛇口から垂れた水が、ぴたんと小さく鳴った。
「……チサエ? いるの?」
顔を出して呼びかけるが、返答はない。
ぎゅっと唇を結び、サナミは理科室に入った。
足音が、妙に大きく聞こえる。