夜人【ヨルヒト】さん
「そうだよ。開けるね」

がしゃんと大きな音を立て、ドアを開ける。

狭く、ごちゃごちゃと教材が積み上げられた準備室の隅に、背を向けてうずくまっているチサエがいた。

「いたー。もうチサエビビリすぎなんだけど」

笑いながら入る。埃の臭いが鼻をついた。

「うわ埃っぽい! 早く出よう」

「……サナ、怖いよ……」

「え?」

「あの女……あれ、何……?」

「あれって」

呆れ、サナミは腰に手を当てた。

「あれはただのバカ女じゃん。何そんなにビビッてるの?」
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