二人の『彼』
目が覚めたら現代、全ては夢の中だった、という展開を期待して毎日眠りにつくけれど、残念ながら今日も夢落ちではなかったようだ。
すっかり着なれてきた──当初は着方も分からなかった──男性用の着物に着替えると、小気味良いリズムで音をたてながら、階下に降りる。
朝の開店の準備をしなければいけないからだ。
先に先輩がやっていることが多いので、起きたら真っ先に手伝いをするというのが、日課になってきている。
この時代、目覚まし時計なんてないからな。
俺なんて気を抜いたら昼過ぎまで寝ていられそうだけど、居候の身ゆえに、そうも言っていられない。
「先輩、おはよ……って、あれ?」