二人の『彼』
珍しく、四季の休みと新撰組の非番が被った。
こんなに太陽が活躍している日に、陽の光を浴びないなんて罪である。
俺は先輩と出掛けることにしていた。
もちろん二人で。
最初に明記しておくが、これはデートなんて浮わついたものではない、決して。
提案した時は、先輩にもそう思われてしまったけれど、あくまでも元の時代へ帰るための手がかりを探すための旅だ。
……とは思っているものの、やはり下心が見え隠れしているのも否めない。
本当は。
先輩と一緒にいられるだけで嬉しいんだ。
「あれ、藤堂さん」
前方に見えたのは、馴染みのある隊服が2つ。
歩いてきたのは、沖田さんと斎藤さんだった。
どうやら見回り中らしい。
「ていうか沖田さん、新撰組を離れたら俺は藤堂じゃないってあれほど……」
「あれ、そうでしたっけ」
新撰組を離れても離れなくても俺は藤堂じゃないんだが。
齊藤さんは黙って見守っている。
興味無く干渉せずというわけでも、仲裁に入るでもなく。
大人だ……。
沖田さんにも是非見習ってほしい。
「なんだか二人って、姉弟みたいですよね」
不意に、沖田さんが俺たちを見てそう言った。
姉弟……か。
そういえば、元の時代でもそう言われることがあった。
仲が良くて、本当の姉弟みたい、と。
その度に俺は、複雑な表情をしていたような気がする。
確かに先輩からすれば俺は、弟にしか見られていないのだろう。
俺自身も、仲が良いっていうこの関係は壊したくない。
ならば弟として姉を慕うしかない。
だからいっそ、本当の姉弟だったらよかったのに。
そう、思ってしまうんだ。