二人の『彼』
あとがき
善悪の判断基準というのは、最終的には個人の価値観であると、私は思います。
もちろん、先入観だったり固定概念なんかがその判断基準に影響することもありますが、善悪は一概に『善』または『悪』と割りきれるものではありません。
よくある例ですが、電車やバスなんかで、席を譲られたお年寄りが「まだそんな歳じゃない」と憤慨する場面を考えてみると、お年寄りからしてみれば、席を譲った若者は『悪』であるのに対して、若者からしてみれば自分は『善』の行為をしているとみえる訳です。
『善』と『悪』との食い違い。
一般に、殺人は『悪』としていても、例えば伝染する致死性のウイルスにかかった人の前では、生き残るための手段として殺人は正攻法で『善』であり。
しかし殺人を生業としていても、『悪』だと解って行う人にしてみればそれは『悪』でしかないのです。
つまり善悪には個人差がある訳です。
プロタゴラスの言葉を借りれば、「人間は万物の尺度」ということですね。
そしてまた、個人の好みというのは、最終的には本能なのではないかと、私は思うのです。
イケメンやらの一般的な先入観はあれど、好みというのは人それぞれ。
その好みの理由を突き詰めていくと、しかし理由は無くなると思います。
例えば、「苺が好き」→「何故苺が好きなの?」→「甘いから」→「何故甘いのが好きなの?」→……という具合です。
もちろん食べ物に限りません。
「この人が好き」というのは、「どこが好きなの?」というのは当てはまれど「何故好きなの?」という問いは当てはまりません。
きっかけはあっても、それは理由にはなり得ないのです。
理性と感情はよく対比で出されますが、理性を破るのは本能なのではないかと、考えたりします。
というわけで「二人の『彼』」でした。
ここまで読んで頂き誠に恐縮でございます。
この物語は、私の好きな恋愛ゲームアプリ『イケメン幕末~運命の恋~』より、設定を拝借したものになります。
ようやく待望の恭くんが配信されるということで、暖めていた作品をお披露目することにしました。
これはあくまでサイドストーリーなので、先輩(ゲーム内での主人公)と『彼』(ゲーム内での攻略対象)の恋愛を見守っていく、サポートとしての視点での恭くんの、裏で奔走する姿を描いたものです。
本編とは一切関係ありません!
もちろんゲームとも関係ありませんので、この物語は夢小説扱いになるんでしょうけど(笑)
しかし気合いが入っていたのか何なのか、色々工夫を凝らしているのにお気づきでしょうか?
先輩の名前を呼ばなかったり、『彼』の名前を明かさないことはもちろん、恭くんに最後まで好きという表現を使わせなかったり、言葉遊びを入れてみたり(一番お気に入りなのは齊藤篇のタイムスリップの表現)。
そういえばタイトルは「二人の『彼』」なのですが、この「二人の『彼』」って誰と誰のことでしょうね?
先輩から見れば恭くんと『彼』ですが、恭くんから見れば『彼』と『奴』でしょうし。
作者自身、曖昧にしすぎて謎の残る箇所が多々(笑)
でも、元々読書好きな私が、書くことの魅力にも気づけたいい経験になりました。
また、小説を書くことに挑戦してみたいと思います。
ご意見があればお聞かせくださると嬉しいです。
では、ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
またお会いしましょう!