汚れを知らない女神さま゚+.。◕ฺ



次の日。



昇降口に行くと、みんなが前みたいに挨拶をしてきた。



「…?」

ふと気がついてかおりの靴を見る。

「…来てる」


私は、急ぎ足で教室へ足を進めた。


ガラ───


ドアを開けると、みんなが今までみたいに静かにならない。

しかも何人かは、私にやっぱり挨拶をする。


「お、おはよう…。」


まるでいじめが始まる前に戻ったみたいに平和な生活の幕開けだった。


私が挨拶を返すと、みんなは一部を見てコソコソ言って、笑っている。


みんなの視線の先には────



ひとりぼっちになったかおりの姿。


「かお、り…。」


ただ、みんな座ってるだけ。

まわりの、女子も男子もかおりから席をわざと分かるように離して。


かおりは、スカートをぎゅっと掴んで耐えていた。

まわりの視線、声から。


決して逃げずに。



「由依ちゃん、西田を気にしてんの?
あんな奴放っときなよぉー」

「そうそう、ちょっと可愛いからって、ねぇ」

「先輩にかわいがってもらってるから、ってしていいことと悪いことの区別つかないのかな?」

「カンニングとか、人間のやることじゃないっての。」

言えてるー!と、他の女子がケラケラ笑う。


その声が嫌だ。


あんたたちの手のひら返しもやだ。


「…確かに、かおりは可愛いよね。」

運動部だから痩せてて、スタイルは良くてスカートからすらりと出る足はみんなの目を惹く。


厳しいことで有名な陸部にも、一人で入ってうまくやってる。
そりゃ…かわいがられる。

私をいじめた。


カンニングって事件もあった。

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