バースデー・イブ

 ユーとはあれ以来なぜか仲良くなってしまった。久保さんと呼んでいたのがいつの間にかユーになり、職場でもユーとちーちゃんの間柄だ。嫌でも顔を合わせなければいけないのもあるけれど、


 「ちーちゃん、俺今日は直帰だからよければご飯行かない?」
 パソコンを操作しながら
 「いいよ。今日は定時に上がれそうだから、これ処理しちゃお。なにごちってくれるの?フレンチか回らないお寿司がいいな」
 「車だから酒ないとこがいいですね。あと、給料前だから寿司には行かないし奢りませんよ」
 「じゃ、パスタにしよ。あたしさっきポルチーニ茸のパスタ食べたけど、カルボナーラ食べたいの」
 「サイゼですよね?」
 「えー、サイゼはデザート食べに行くとこだよ。市立病院付近のイタリアンがいい」
 「いーね、そこにしよ」
 「」
 時たまふたりでご飯を食べている。でもいい雰囲気に全くならない。これが男友達ってやつなのか、

 「プロ野球終わったねぇ……つまらないや」
 「だよな、」
 「試合が観たいよ、かっこいい守備が見たい」
「外野がギリギリのキャッチするとか見てて痺れるよな」
「あと、ピッチャーがギリギリで決めるのもかっこいい」
「あれはー?キャッチャーの盗塁阻止」
そう言いながら右腕を送球するように動かすユーに、かるくあしらうようにかっこいいねと返す。ほんとうは一番かっこいいと思うけれど、そんなこと言えば図にのるから言わない。

 「じゃあ今週末に草野球見に来る?」
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