バースデー・イブ

ハンティングガール


「知華さんと久保さんって付き合うものだと思っていました!」
今日のランチはナナちゃんと職場の近くにあるとんこつラーメン店のカウンターでラーメンが来るのを待ちながら、ナナちゃんは顔を引きつらせて話してくる。
「だいたい、秘書課のあの女って女子の中では評判悪いですよ。男性社員はコロっといっちゃうみたいけど…久保さんも騙されちゃうとか幻滅…久保さんって意外と見抜く力ないんですね。帳簿とかは抜け目なく間違いすぐ見つけるのに」
「そうなの?あの子いつもニコニコしながら伝票とか持ってくるよ」
「知華さんはトロいから気づかないんですよ!ハイエナ女子に!今年だけでも、社内社外の男を女子ネットワークが知る限りじゃ10人は喰ってますよ!」
そう噴気しているところでラーメンがくる。喰ってるとか会社の近くで言っていいのかよと思ったけれど、そんなことを言ったらよけいに怒りそうな雰囲気のため閉口し、出てきたラーメンを食べはじめる。


「けどナナちゃん、あたしとユーは友達だよ。それにあたし好きとか思ってはいないから」
「えー!そうなの?!あれ以来…またニコニコしてる知華さん見るようになったから、てっきり久保さんに惚れたと思いましたよ」
「ないない。だいたいユーは口うるさいおっさんみたいけど、ヤクルト負けたら不機嫌だし、巨人が勝ったら既読無視だよ?子供だよ。タイプじゃないって」
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