バースデー・イブ
食べ終えて職場に戻りながらタリーズに寄るというナナちゃんと別れて一人戻る。ビルの入り口でユーと出くわした。

「ちーちゃんこんにちは」
「こんにちは。今日来るの早くない?」
「他のクライアント早く終わったから、この辺でランチしたんだよ」
「へー、例の彼女と?ナナちゃんから聞いたよ」
「まーね。巡回来るならその前にご飯しようって誘われたんだ」
ニコニコ笑いながら話すユーは訊いてもいないのにノロケ話をする。この前のデートでお弁当を作ってくれた事、彼女の部屋に呼ばれて手料理をもてなしてもらった事、ひさしぶりにできた彼女の事を自慢気に話す。今度ふたりで箱根に温泉旅行するんだと今から楽しみだと言う。
あたしは相槌をしユーの話に聞き入る。なんだ、いい子じゃない女同士のよくある僻みかな?と思い、ユーと世間話をしながらオフィスに戻る。あの手のいい子って反感買いやすそうだと思いながらちょうど来ていたエレベーターに乗り込むと、わたしよりも先にユーはフロアを押し他に乗ろうとする人のために開ボタンをた後で押している。こんな気配りいいところモテそうだなぁと思いながら見ると、見惚れた?なんて事を言うからバカじゃんと返した。

< 27 / 39 >

この作品をシェア

pagetop