バースデー・イブ
26歳の誕生日


 春になり新年度がやって来た。

 「知華ちゃん、駅前のリストランテどうなった?」

 「14時にアポ取りましたので、カメさん連れて行ってきます」

 人事異動であたしはずっと行きたかった編集部に配属された。やる事が多く前より忙しくなったけれどやりがいがあって楽しい。編集長の紀田さんに連れられての外回りは大変だと感じることもあるけれど刺激になる。それにユーと関わらなくなりきまづさから逃げられて楽な気持ちになった。正社員登用されたナナちゃんから2日に1度のペースで顔文字満載の泣き言を羅列させたメールが送られてくるが、冷たいようだが深入り出来ない。

「知華さぁぁぁぁぁぁん!」
昼休みにオフィス近くのラーメン屋に居ると、ナナちゃんがものすごい形相でやってきた。
「久保さんが…久保さんがすごく厳しいんですぅぅ」
そう言いながらユーの
「あはは。わたしの時もそうだったよ」
「知華さんはできる女だからいいですよ。ウチなんてバカ高校をギリギリで卒業してバイトで入ったから最初は雑用…それに比べたら、知華さん大卒の資格持ちでしかも今は編集…違いますよ。編集憧れますけど、ウチ借方貸方もいまだに理解できないし」
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