バースデー・イブ
29歳の誕生日
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ユーが旅立ってもう3年経とうとしている。20代後半の3年という月日は様々な事柄が変わる。独身の友達が少なくなり昔のように遊べなくなった。
ユーとは時たま連絡を取り合い他愛ないやり取りをしているが、甘ったるい言葉はひとつもない。SNSは発展しているのに、やっぱ直接会って話さないとダメだなと思うことがある。
きっと恋人なら違ったのかもしれないけれど、もしあの時に告白されていたとしても遠距離なんて性に合わないから付き合わなかっただろう。
ユーは無事に資格も取れ今は元上司の紹介でニューヨークで仕事をしていると聞いた。コンサル業もしながら日系人や日経企業の税務処理も引き受けているらしい。
向こうは家賃が高いためブルックリン橋を渡ったにある寂れたアパートに住んでいると聞いた。けれど黒のバーバリーのトレンチコートを羽織り、俺様もついにニューヨーカーの仲間入りをしたよと馬鹿げたことをフェイスブックに書いていた。ウォール街のビジネスマンと肩を並べ歩くのが憧れだったから嬉しく、ラインのアイコンはウォール街を歩く姿だ。
あたしは部署が変わってからは仕事が楽しくてそれなりにキャリアも積みネット記事でコラムを書くようになった。少しは恋愛したけれど、どの人も物足りないし本気になれない。アラサーにしてこれでいいのかを自問し、