バースデー・イブ

 「懐かしいね、こうしてランチするの」
 「大学以来だよねこうして屋外でランチって……みんなでこうして食べたね。将吾がサッカーしていて、ちーはそれいつも見ていて」
 「そうだったな……なんかさ、こうしてもう5年も付き合うなんて思わなかったよ」
 「だよねー。みんなが大学の頃の彼氏と別れたけどさ、ちーっちは付き合ってる。あの頃に描いたドリカムの歌を体現してるよ」
 あの頃に話していたドリカムの未来予想図Ⅱみたいに、卒業してから3度目の春にも彼氏と一緒にいたいねと話していた。けれど、卒業してから3度目の春はなにもないまま終わっていった。
最近は昔ほど連絡を取る事もなく、


 「そうだ、再来週の金曜日ってちーは都合いい?」
 「今のとこ空いているよ。一応は決算済んだから暇な時期だし。監査がなければ大丈夫かな?」
 「ならさ女子会しよ。駅前ホテルのバーにね女子会プランがあるの。ちーずっと行きたがっていたじゃん?」
 「行く行く。この前編集さんが行ってみれば?って勧めてくれたの」
「やっぱオシャレで少し高いバーで飲むのがステイタスだよね」
社会人になってからの美咲ちゃんは雰囲気のいいお店に行くことをステイタスとしているらしい。先日もプチ遠距離の彼氏が住む町のホテルのレストランでディナーしたことをFBにあげていた。あたし自身も社会に出てからは時たま雰囲気のいいバルで飲むのがお気に入りだ。
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