私は初めから病気だったワケじゃない!!
私の病室は、ベット数二つの相部屋で、
小さな女の子が、
隣のベットに寝ていた。

彼女に付き添っていたママさんにあいさつした。
彼女はYちゃん、
普通なら、
小学一年生になっている年齢だけれど、
二歳の時に、
高熱が出て、
酷いけいれん起こして……。

そのまま今も、
意識が無いという……。

ずっと寝ている眠り姫……。


Yちゃんは、手足が異常に細かった。

4〜5年間、ずっと寝たきりだったからだ!

普段は、お家のベットで、
点滴を付けて、
暮らしてきたのだけど、
今回は検査のために、
十日間の日程で、
入院しているんだって!

Yちゃんは、
時々目をあける。

赤ちゃんみたいに、
とても澄んだ眼だった……。


五年生の私は、
時には充血したりして、
こんなに澄んでいないわ〜!

顔をたまに
眼を向けた方向に動かしたりもしていたけれど、

お医者様は、
意識が無いという……。
でも、
眼をひらいて、
何かを見ているような姿は、
意識がないような感じがしない。

意思を伝えられないだけのか?

夢心地なのか?

アノ発作の後に、
私は、意識が戻ったが、
意識が無いと言われる状態に、
私は、数時間なっていた。

私が抱く感情、

私が感じている五感、

私の考え、

そもそも、当たり前でいる私とは何だろう?

夢の中の、
ままならない状態。

夢心地のまどろみ。

私が私でいると感じているのは、
脳が正常に動かないと、
感じないのだろうか?


点滴で、栄養を与え、

生命活動が維持して生きているだけだから、
植物人間状態なのだと、
言う……。

医療が発達していなかった昔には、
食事が出来なくなると、
点滴で栄養を補えなかったから、

亡くなる日が、
もっと早く来ていた……。

私が意識が戻らなかったら、
Yちゃんと同じく、
点滴で生きる植物人間状態になっていたのかもしれない。

何年も何年も、
家で家族の介護を受けて、
話すこともなく、
食事をとることもなく、
好きな本を読んだり、
大好きなお菓子を食べることもなく、

家族と話すこともなく、

ただ、生きるだけなのだ。


私は、Yちゃんと、
出逢って、
普通に生活するありがたさを
初めて知った。
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