私は初めから病気だったワケじゃない!!
気がつくと、
技師のおばさんが、
起こしに来た。

「はい、よく寝ましたね!!」

手や耳たぶの電極を外して、
アルコールを染み込ませた脱脂綿で拭いた。

「ターバン外しましょうね!」

ターバン!?

あ、ハチマキ状の布!?

額の止め金を外して、
布は外された。

これって、ターバンって言うの?

インド人の頭の布なんて、
どこに有るんだか!
って一瞬思っちゃったわ!!

技師のおばさんは、
頭に付いた電極のコードの束を持って、
一気に外した。

「さ、お母さんと、あそこで頭洗ってね!」

頭……洗う?

髪の毛を触ると、
電極を付けた所が、
薬みたいなのが付いている!?

お母さんが、ちょっとびっくりした顔をしながらも、

「あちらの流し台ですか?」

と、お母さんが技師のおばさんに聞いた。

「シャンプーや、シャンプーハットがありますので、
使って下さいね!」

と言って、
お母さんにタオルを渡した。

「はい……。」

流し台の鏡を見て、
ギョッとした!!

髪の毛の中に、
綿がアチコチに付いている!?

鳥の巣みたいになった頭から、
綿を落とすべく、

流し台で、
頭を洗う。

「シャンプーハット使う?」

「ううん。」

普段使ってないから、
要らないわ。

リンスinシャンプーなのね……。

フローラルな香りがする。

洗うと、簡単に綿が落ちてくれた。

髪をタオルで拭いていたら、

「ドライヤーはそちらです♪」

通りがかりの看護師さんが、
ドライヤーの置いてあるかごを教えてくれた。

ドライヤーの電源を探してキョロキョロしていたら、
さっきの看護師さんが、
カルテをもらってきた帰りに、
また声をかけてくれた。

「ドライヤーの電源は、
そちらです!」

足元に延長コードがあって、
そこのプラグにさすようだ!!

「あら、こんな近くに!?
ありがとうございます!」

お母さんと私は、
看護師さんに会釈した。

「いいえ、
いつも初めての患者さんは、
気がつかない場所にあるので……。」

看護師さんは、
笑顔で答えた。

私は、髪の毛の先をタオルで拭いて、
お母さんがドライヤーをかけていた。

沢山寝ても、
寝不足の時みたいな頭がぼおっとした感じが、
ずっと続いていて、
スッキリしない。

髪が乾いたので、
ドライヤーをお母さんがしまっていたら、
技師のおばさんが来て、
「タオルはこちらに。」
と言って、
タオル回収箱に受け取って入れた。

「診察室7番の待合室にいらっしゃって下さい。」

さっきのお医者さんの所……。

また待たされるんだ……。

うんざりしながら、
さっきの待合室に向かった。

さっきより待っている人数が少なくなっていた。

待合室の椅子に腰かけていると、
さっきの看護師さんが、
診察室から出てきた。

思わず会釈を交わすと、
「もう少しお待ち下さいね。」

と、素敵な笑顔を見せた。

すると、次に呼ばれた。

さっきのお医者さんが、
線の一杯入った紙の束を見ていた。

「薬を出します。
ちょっと熱があるので、
熱性けいれんですね!
起きている時は、
脳波は正常ですね。
ちょっと気になる波が、
眠りばなに出ています。
これは正常者もてんかん患者も出ますが、
様子見で……。
薬飲んでさえいれば、
今回のような発作は起こしません。
では、薬が切れる前にまた来て下さい。
風邪の熱が下がったら、
明日からでも学校行って大丈夫です。」

お医者さんが、
矢継ぎ早に、
診断を下して、

「何か質問は?」

「あの……。
どういった事で、
倒れたのでしょうか?
どうすれば、
発作起こさないのでしょうか?」

「風邪の熱が急激に上がった場合、
けいれん起こすお子さんもいます。
てんかん患者になると、
原因不明なケースで、
突然発作起こしますが、
お子さんは、
熱が原因です。
暴飲暴食、寝不足が重なると、
けいれんを起こしやすいので、
早寝早起きを心がけて、
腹八分目にして下さい。
あとは無ければ、
こちらを会計に出して下さい。
何かあったら、
薬が切れる前にでも来て下さい。」

「はい……。
ありがとうございました。」

私は、お母さんと、頭を下げた。

「待たされるのに診察は、
短時間すぎるわ!!」

会計に向かう道すがら、
お母さんはこぼした。

会計窓口にカルテを出すと、
処方箋を渡されて、
投薬窓口に処方箋を出しに行った。

会計待ち1時間半と、
待合室にはプレートが、
掲げられていた。

「いったん家に帰って、
寝ていた方が良いわ。
お母さん、また出直すから。」

タクシーを拾って、
家に帰った。

お母さんは、
お茶を飲んで、
洗濯物を取り込んだら、
また病院に向かった。

私は、自分の部屋に布団を敷いて横になった。

病院は疲れる。

遠くの病院じゃなくて良かった……。

まだ明るい自分の部屋に横になると、
いつの間にかまた寝てしまった。
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