私は初めから病気だったワケじゃない!!
「そう言えば、父が中国の仕事をした時に、
中国から何人か来て、
家の家庭料理を
食べてもらった事があります!
家庭料理と言っても、
母が、腕をふるって、
ちらし鮨や、
フランスの家庭料理を
振る舞って、
ちらし鮨は人気がなかったけれど、
フランス料理は、
ハウスー、ハウスー♪
って言いながら、親指立てていましたよ!」

「北京語で言う、
好吃(ハォチー)ですね!
親指立てるのは、
素晴らしいと言うジェスチャーです♪
四川省辺りの訛りみたいな感じですが、
何処の出身の方でしたか?」

「確か、武漢だったかと……。」

「あぁ、武漢ですか!!
確かに!!」

私は、T先生と、
話が弾んで、
楽しかった!

今でこそ、中国の正月休みに当たる春節に、
沢山の観光客が、
日本に押し寄せているけれど、
当時、中国から仕事で来ていても、
珍しい方で、
日本人は、一部の中国歴史ファンや、
ビジネスマンでもあまり気楽に立ち寄る国ではなかった!

中国の改革開放政策で、
国営企業の工場プラントを
父が勤める日本の中小企業に依頼してきたのだが、
天安門事件以前の、
まだ中国がどういった国なのか、
一般にはよくわかっていなかった時代で、
日本と中国の企業間の交流が、
現在ほど活発に行われる以前だった。

そんな時代に、
中国ネタで、ここまで話がはずむのは、
T先生も意外に思われたかもしれない!!

この先、私が中国文化と中国語に、
興味をもつきっかけになったのは、
T先生の漢文の講座のおかげだと言える!!

「失礼します。
デザートお持ちしました。」

ウェイターさんが、
デザートを運んできた。

「うわ〜ぁ♪
美味しそう♪」

綺麗に盛りつけられたアイスクリームに、
フルーツ♪

私が食べていたら、
T先生は手をつけていなかった。

「良ければ、
どうぞ♪」

「え!!
良いのですか?」

「私は、もうお腹いっぱいです。」

スイーツは別腹♪

私が嬉しそうに食べているのを
T先生は、優しげなまなざしで見ているのに気がついた。

「そう言えば、
先生って、
おいくつですか?」

「私!?
私は、何歳位に見えますか?」

「20代半ばくらいですか?」

「……そう見えますか……。」

「他の先生方も、
T先生若いよねって……。」

「実は、30ちょっと過ぎ……。」

「え!?
本当ですか!!」

「はい……。」

仮に31歳として、
私は、19歳。

歳の差は、12歳!?

ひとまわり違うの!?

だから……先生、
色々落ち着いているんだ!!

私が、病気じゃ無かったら、
この歳の差は、あまり問題ない……。

でも……3年、6年先に、
治るかわからない持病を抱えている私には、
この歳の差は、
大きい……。
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