私は初めから病気だったワケじゃない!!
私は、
デザートを食べ終えた。
T先生は、
時計を見て、

「あまり遅くなってもよくありません!
そろそろ、
帰りましょうか?」

「はい……。」

T先生がレジで、
会計を済ませたら、

「あ、そうだ!
ここに受験結果を
知らせて下さい!」

と言って、白い紙を渡した。

名刺!?

T先生のご自宅の住所と電話番号が書いてある!?

「はい!!」

私は、定期入れにその名刺をしまった!

「では行きましょう!」

駅前の公衆電話に着いたら、

「お家に電話してくれますか?」

「はい。」

黄緑色の公衆電話の受話器を上げ、
テレフォンカードを差し込み、
家の番号をプッシュする。

トルルル……、
トルルル……、
トルルル……、

「はい、瀬崎です。」

「あ、お母さん、
今、予備校の近くの駅前……。」

「代わってもらえますか?」

私は、うなずいて、

「T先生に代わるわ。」

「あ、お電話代わりました。
Tです。

はい、
いいえ、とんでもない。

はい、
はい。
では失礼します。」

電話を終えて、
私たちは、
改札を通る。

私は、定期券、
T先生は回数券だ!


現在は、
自動改札だけど、
ジ○リ映画に出てきたような、
自動改札になる前の、
ちょっと昔の上野駅みたいに、
当時は駅員さんが、
各駅の改札に立ち、
切符にハサミを入れる。
ハサミは、駅によって切る形が違っていて、
どの駅で入れたハサミなのかが駅員さんにはわかる。


「私は、U駅なので、
先生とは反対方向ですね!
今日はありがとうございました!
ご馳走さまです♪」

「本番頑張って下さい!」

T先生は右手を差し出した!

え!?
握手!?

うわ〜ぁ!!

おっきくて、
温かい!!

「頑張ります!!」

この手で、
あの黒板に、
綺麗な字で、
漢文の例文とか書いていたんだわ♪

T先生にパワーをもらった気分になった♪

T先生は、階段を降りる私を見送ってくれた。

ホームに降りて、
しばらくすると、
隣のホームに、
T先生が降りてきた!?

すぐに私のホームには、
電車が滑り込み、
ドアが開いた。
降りる客は2、3人程度で、
私は、発車のベルに背中を押されるように、
電車へ乗った。

隣のホームが見える窓の方に立ち、
T先生を探すと、
右手をピンと上に
挙手するみたいに挙げていたので、
すぐに分かった!

軽く会釈をして、
T先生が小さく見えなくなるまで、
私は、見つめていた……。
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