私は初めから病気だったワケじゃない!!
「ただいま♪」

「あら、お帰り。
ねぇ、さっきの電話の方、
予備校の先生だったわよね?」

やっぱり母に聞かれた!?

「ええ。
そうなの。」

「どんな方?
声はいい声だったけど……。」

「漢文の先生。
相当な中国通よ!」

「ふうん〜。
ぴろちゃんも、
三国志とか好きだったからね……。」

「まあね。」

現代中国のネタで盛り上がったけどね。
T先生、三国志とか詳しそう♪

何だか、妙に母は、
根掘り葉掘り聞きたそうだ!

洗面台で、鏡をみたら、
私の顔がにやけていた!?
ひとまわり以上の歳の差……。

冷たい水で、
顔を洗う……。

食事をご馳走してもらい、
楽しかった会話の反面、
離れすぎた歳の差を知り、
持病の再発が、
悲しくて、私の気持ちは、
複雑だった……。

私は、リビングに置いてある紅茶が入っていたオシャレな缶を開けた。

中には薬が1ヶ月分入っている。

毎日飲んでいる抗てんかん薬を
1日分切り取った。

そして、
鞄の中の、
1錠だけになった薬と交換した。

T先生に気がつかれないうちに、
さりげなく服用しておいた。

いつも1日分の薬を持ち歩いているのは、
急な外食に備えたり、
飲み忘れを防ぐためだ!

「ちゃんと薬飲んだのね?」

「うん……。」

私は、自分の部屋に行き、
定期入れから、
T先生の名刺を取り出した。

机の引き出しから、
住所録を取り出して、
T先生の住所と電話番号を書き出した。

T先生の名刺を
定期入れに戻して、
予備校のパンフレットから、
T先生の顔写真を切り抜いて、
一緒に定期入れに入れた。

受験の御守りにしよう!

私は、予備校の教材の復習を始めた。
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