私は初めから病気だったワケじゃない!!

デザイン科

私のクラスは、
芸術学部 映像・デザイン・美術 デザイン科
映像科はカメラマン、
デザイン科はグラフィックデザイナー、
美術科は美術家を養成するカリキュラムだけど、共通部分もあり、
専門的に学ぶ分野もあるが、
似たような学科なので、
先生たちも共通講座をもっている。

グラフィックデザイナーになるためには、
何が必要なのか、
技術的なノウハウと、
感覚を訓練する。

ただし、美術大学卒業生が、
ファーストフードで、
販売を担当する華やかな立場なら、
専門学校卒業生は、
裏方で、汗水垂らして、
ハンバーガーを焼いたり、
形をととのえて、
調理する地味な立場になる。

販売は、有り余っているが、
調理は手が足りなくて、
キツい仕事が多い。

そういう立場に私らは、
居るのだと、
はっきり先生に言われた。

デザイン事務所での下働きで、
使える新人を養成するのが、
この専門学校の教育方針だ!

ならば、落ちこぼれないで、
少しでも、いい就職先が見つかるように、
トップをキープできるように頑張るしかない!!

受験をせずに、
高校からなんとなく専門学校に来た連中に、
負けたくなかった。

短大卒業して、専門学校に入学したIちゃんと仲良くなった。

Iちゃんは、ヘビーメタルのバンドのファンで、
ドラムをやっている。

だから、びょうの入った、セクシーな服装で、
かかとの高いヒールやブーツを履いている。

通学途中の駅で見知らぬ男が、

「貴女の奴隷にしてください!!」

と、土下座してきたり、
使用済み下着やパンストなどを顔写真入りで販売するという、
ブルセラ業者に、
声かけられたりと、

男をおかしな世界に目覚めさせる出で立ちだけど、
中味は、ヘビメタ好きなだけのお姉さんなので、
イカれた女性ではないのだが、
恋愛経験とかは、
開けっ広げな性質で、

私とは正反対の所もあるが、
ナゼか気があったので、
いつも一緒にいた。

化粧っけない眼鏡っ娘の私と仲良いのは、
一見不思議な光景らしい。

学校内で、すれ違いざま、

「スゲー……。」

と、思わず言ってしまう他の学部の男子生徒の発言に、
ちょっと傷ついているという、
不思議な乙女だ。

要するに、彼女の出で立ちは、
Iちゃんにしてみれば、
ファッションであり、
芸術表現であり、
セックスアピールのつもりではなかったのだが、
男性をアブノーマルな性癖の世界を連想させる服装だった。

現在で言う、
ガガ様みたいなモノかもしれない!!
< 87 / 95 >

この作品をシェア

pagetop