私は初めから病気だったワケじゃない!!
「今日は、ずっと、横になっていたの。
風邪だったし……。」

「もう良いの?」

「うん、
熱下がったから。」

「でもさー、
昨日、ぴろが皆、
死んじゃうかと思ったー!」

「本当、意識なくなってたし!!」

「詳しく聞かせて!」

お母さんが、ジュースを持って来た。

「あ、はい!!
おかまいなく。」

「ごちそうさまです。」

皆が頭を下げた。

「ぴろが、
日直さんの号令に、
一人だけ立たなかったの。」

「椅子にもたれて、
左手がびくんびくんってなっていたの!」

「顔も、半分だけ、
ひきつってた!!」

「口から泡ふいていたみたい!!」

「眼が白眼だった!!」

「怖かった!!」

え!?

「保健の先生が、
たまたま通りかかったから、
口に指を入れてた!!」

あ、やっぱ、保健の先生だったんだ!!

「ちょっとだけ……覚えてる……。」

「そうなの?」

私は、頷いた。

「先生たちが、
保健室に行くとき、
椅子ごと持ち上げてた。」

あのゆらゆらは、
椅子ごと運ばれていた記憶だったのね……。

「そうだったの……。
お医者様はね、
熱が原因で、
けいれんを起こしたと、
おっしゃったの。」

お母さんが、
説明をはじめた。

「けいれん?」

「頭の中ではね、
身体を動かす時に、
電気が流れるのだけど、
それが、
熱が原因で、
身体を勝手に動かしちゃったのよ。」

「頭の電気!?
気持ち悪い!!」

Kちゃんは、
言い放った。

お母さんは、Kちゃんを、なにこの娘!?
とばかりに、
キッと一瞬にらんだ。

「あなたにも流れているのよ!!」

「電気が?
頭の中に!?」

「うそっ!?
マジで!?」

皆、お互い顔を見合わせていた。

だから、電極をつけたんだ……。

私は、一人納得していた。

「熱が原因だったから、
風邪治したし、
あとは発作起こさない薬を飲んでおくと、
そのうち治るそうよ。
明日からまた学校に行くからね。」

「そうなの。」

「良かった。」

こうして、
お見舞いに来たクラスメイトは、
ジュースを飲んだら、
帰って行った。

私は、自分が、
皆の前で、
どういう発作を起こしたのかを
大体認識した。
相変わらず頭は、
ずっと寝不足の状態だけど……。

そのうち治るんだ……。

そう気軽に思っていた。
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