ハウ・トゥー・GET・ザ・チョッコレイト☆




「俺は、20年間、このリングで戦ってきた。ただ、もうこれからは若い奴らにチャンスを与えたい、そう思ってる」



おじさんの言うことに嘘はない。
いつもそうだ。



引退する理由でさえも、俺に正直に話してくれたんだと思うと、凛子はともかく、おじさんは本当にいい人なんだと思う。



「そうか。だがな、お前に追いつこうとしている若い者たちの気持ちがわかってないな!」



「なんだと?」



そう。
これは、あの話を聞かされた時から俺が思っていたことだ。



「若い人にチャンスをあげるというよりも、むしろ、若い人を鍛え上げていくのが、お前の次の、21年目からの使命じゃないのか!」



俺の言葉に会場も「そうだ、そうだ!」の声が上がる。



「せめて、身体の動くうちでもやればいい。がむしゃらにやってそれでダメならその時、諦める」



そして、俺は、思いっきり叫んだ。
心の中でおじさんに謝って。



「お前ごときがプロレスをやめるなんて、20年早いわ!!」



会場の拍手喝采。
そして、大「東コール」。



おじさんを見ると、涙を拭っているようだった。




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